チェイズでは、編んだモチーフをアクセサリーや雑貨として仕立てておりますが、すべて「オヤ(縁編み)として使えるモチーフ」(=布端を飾るための連続模様に出来る)であることを基本としています。私自身がアクセサリーとするために作られた単品のモチーフよりも「スカーフの縁飾りとしてのオヤ」が好きだということもありますが、作品を「トルコの伝統手芸オヤの技法を使っている/オヤである」と言ってご紹介している以上、これは外せない要素だと思っています。全てセットでご紹介したいところですが、そうもいかないので、いくつかを抜粋してどんなモチーフなのか、ご紹介します。
*モチーフ名についてですが、「オヤ」は口伝や見様見真似で伝えられてきたため、地域や時代によって、指すものがマチマチです。同じ見た目の物でも違う名前がついていたり、そもそも名前が無いものもあります。伝統的に名前が決まっているものもあれば、雰囲気で付けられるものも。 同じものでも違う名前のものや、同じ名前でも全く違う見た目の物などもたくさんあります。伝統的に決まっているもの(ほとんどがイーネオヤ)以外は、どれが「正解」「これじゃなくちゃいけない」というわけでもないので、そういうカチッとしていないところを「面白い」と思っていただければ幸いです。
基本的にはトルコ人の付けた名前を元に呼んでいますが、見た目で変えているものもあります。

葉 Yaprak
見たままですね(笑)。これはTunus işiと呼ばれる編み方で出来ていて、長いかぎ針で編む、いわゆる「アフガン編み」と同じ技法です。トルコでは何故かチュニス(チュニジア)編みと呼びます。
işはざっくりした概念なので前後に付く言葉によって訳語が変わりますが、仕事というかやること全般のことで、手芸はEl işi(手でする仕事=手芸)といいます。かぎ針編みを使った編み物全体のことはTığ işi(かぎ針でする仕事=かぎ針編み)です。

鳥の目(鳩の目) Kuş gözü
鳥の目/鳩の目は1枚目(左)の写真周囲のビーズの輪のことを指します。こういうプチプチした輪が付いているものは大体この名前が付いています(2枚目:右の写真の中間模様など)。
1枚目の写真は元は直線だったモチーフをぐるりと輪にしたもので、アクセサリーとしてよく作られています。オヤとして使う場合は、直線や半円にします。
生徒さんに鳥が苦手な方が多かったのであまり連想させないよう、花のようにも見えるので「フラワーサークル」と呼んでおり、中心にビーズやパールを編みこむのはオリジナルです(と、いうほどの事でもないのですが、やっている方が他にいないので…)。
レブレビ Leblebi / 泡 Köpük
ボール状のモチーフはひよこ豆(Nohut)のスナック(=レブレビ)とかオレンジとかトマトとかリンゴとかピーマンとか、、、ありとあらゆる「丸っこいもの」の名で呼ばれています。その中でもレブレビはひよこ豆を炒って味付けした、中東〜西アジアで食べられる日本で言うところの豆菓子的なもの。甘いものもしょっぱいものもスパイシーなものもあります。
オヤとして使う場合は横並びに編みつけていくので、とてもボリュームが出ます。紐の先端に編む場合は編みはじめに来るか編み終わりに来るかで多少編み方が異なります。
私自身では、単体で写真のラリエットのように使う時はKöpük(泡)と呼んだりしています。
ミモザ Mimoza / キイチゴ Ahududu / ハート Kalp
こちらもレブレビ同様のボール状モチーフですが、編み方が全く異なり、粒々っとした小さい出来上がりになります。出来上がりはほぼ同じでも過程が異なるというのが面白く、レブレビよりも形が決まりやすいです。ぎゅっと詰まった様子とポンポン感が可愛かったので、ミモザの名称は私の見立てです。
キイチゴに使っている葉の部分はハート(心臓)と呼ばれるモチーフ(2枚目写真:下列)を単体で編んだもの。思っている以上に糸を使うモチーフですがとても可愛いので、ブドウのモチーフの葉などにも使っています。
ブドウ Üzüm
見たままシリーズ(笑)。このモチーフは割と古いもののようで、いまは縁編みとしてはあまり編まれないようです。オヤとして使う場合はくさり編みのチェーンで編みつなぎ、それをスカーフに縫い付けますが、たくさんビーズを使うのでかなり重くなります。古い写真などで見るととても華やかで、何色で編んでも可愛いです。
ビーズの個数をモチーフ内で変えているのでブドウのように見えますが、ずっと同じ幅で編むと「桑の実 Düt」と呼ばれています。
葉っぱはハートモチーフで。
松の枝 Çam Dalı
こういう左右にツンツンと線が出るモチーフに「松」の名が付けられることが多いです。オヤとして使う場合は上(写真のモチーフを横置きにする)にくさり編みのブレードを付けて、そこを拾ってかがります。
オヤを編み始めた頃から好きなモチーフで、以前はDisneyのドラマ「Once Upon a Time」の登場人物(Evil Queen、Snow White、Emma、Elsa…)のイメージカラーで糸とビーズを合わせて作っていました。いろいろ試しましたが、この長さがベスト。
ケシの花 Gelincik
真っ赤なケシ(ポピー)は中央アジアからトルコの山々に春を告げる花として愛されています。Gelincik(Papaver rhoeas)が一般的なポピー(ヒナゲシ)で、伝統的に花嫁(Gelin)のドレスが赤いことから名付けられ、多くの兵士が亡くなるとその地域でケシの花が枯れるともいわれています。ケシ科で有名なのは Haş haş(Papaver somniferum)で、日本ではアヘンケシと呼ばれ栽培が禁止されているもの。トルコでは国連によってインドと共に伝統的生産国として認められており、栽培・加工・管理は政府機関の監督下で行われています。
カーネーション Karanfil
カーネーションはバラとチューリップと同様にトルコ人に愛されている花。このモチーフは立体的なもので、丸っこい形がポンポンのよう。編むのは単純ですが予想外の糸の分量と時間がかかり、耳飾りに使うようにと2個同じテンションで編むのはなかなか難しいものです。1つのサイズが大きいので、マスクをしたうえで付けていても華やかです。オヤとして使う時はいろいろな色をランダムに並べると、とても賑やかになります。
りんご Elma
りんごとその花をイメージしたモチーフ。花と実が同時に付くことは無いですが、小さくてかわいいアレンジです。花と葉はイーネオヤ(縫い針編み)で出来ています。
リンゴは北アナトリア〜中央アジア原産で種類もたくさんあり、輸出量も上位。一人当たりの1年間のリンゴの消費量は20kgだとか!?
土産物屋などでエルマ・チャイ(りんご茶)という飲物を出されることもありますが、温かい粉末リンゴジュースのようなものでめちゃくちゃ甘いです(日東の粉末レモンティーのリンゴ版)。


トケイソウ Çalıkfelek / 波 Dalga
ぐるぐると行ったり来たりして編み、風車のような羽根がぐるりとまわる形の花は多くが「トケイソウ」の名を付けられています。こちらも編み方としては似ていますが、このモチーフ自体の名前はわかりません。行ったり来たり、寄せる波や波紋のようでもあるので私は「Dalga(波)」と呼んでいます。
昔買ったスカーフにビーズの付いていないものが付いていました。とても大振りで華やかなので、ひとつ取り出してビーズでぐるりと飾ってみると更に華やかに。地は糸なのでとても軽く、耳飾りにしても疲れません。
名前の無い小花
ちょこっとした小花模様は、Ara(メインモチーフの間の中間モチーフ)にもよく使われますが、こちらはメインモチーフとしても使われる、やや大きめの小花模様。葉の部分はぐるりと一筆書きで編み、花部分も3連になっています。こういう小さい花がたくさんついたスカーフもとても可愛いです。
蝶々 Kelebek
オヤで表現される蝶のモチーフはもうちょっとリアルなものが多いですが、可愛さを求めてシンプルにしました。こちらはタティングシャトルを使った「メキッキオヤ」の技法で編まれています。
道路交通法の聴覚障がい者のマークが蝶なので、こちらのモチーフを使って作ったアクセサリー類の売り上げの一部を、年単位でまとめて片耳難聴の任意団体に寄付します。



自分でも何か作ってみたい!と思われた方はプライベートレッスンまたはダウンロードレッスン(イーネオヤが多いです)へどうぞ。プライベートレッスンは、お友達同士やご家族(母娘ペアが多いですね)でお申込みいただいても大丈夫ですよ。

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